黒の日記

とにかくひどい

休日出勤

 今日は休日だったが県外で仕事が入ったというので出勤することになった。6時半が集合時間だった。しかし僕は同日の深夜一時、就寝前になんとなく手に取った漫画、美味しんぼにハマってしまい、そのまま明け方の5時半まで甘美な食事の世界に浸っていた。まだ58巻も残っていたがこれ以上読むと流石に集合時間に間に合わないので切り上げることにした。明らかな睡眠時間の不足により体調はすこぶる悪い。

「なんでこんな日に県外まで仕事ないかなければならないんだ」

 ブツブツ呟きながら身支度し、6時20分に家を出た。

 

 僕は物覚えが悪く仕事ができません。いつも現場では腫れ物扱いされています。しかし、こと今日に限ってはそのイメージが払拭されるくらいにいつもより磨きがかかって役立たずでした。上司の指示をことごとく聞き逃がし、先手を取ってミスをする。思考を巡らして完璧な順序をたててミスをする。現場を軽快な身のこなしでで立ち回り、一切の無駄もない洗練された動きでミスをする。ミスをすることを事前に見越し、非の打ち所のない対抗策を打ったうえで、ミスをする。僕が狙いをすましてミスをするせいで作業終了時間は大幅に遅れ、上司は呆れ顔、お客さんからは哀れみの視線、現場に流れる凍りつくような緊張感。僕はたいそう居心地が悪かった。常人ならこで自信を喪失し、引っ込み思案になってしまうかもしれないが、無駄にメンタルが強かった僕は「こんなもんで引っ込んでられるか」と軽はずみにまだ手をつけていない仕事に手を出し、案の定ミスしてまた怒られた。そんなことを2、3回続けるといよいよ上司は僕を無視しだす。そこでようやく僕は「これはやばい」と気づき始めるのであった。

「もしや今日、僕は出勤しないほうがみんなは早く帰れて、精神衛生的にも非常に優しかったのではないか?」

 疑問が浮かぶ。

 「無論間違いない」

 瞬間的に確信に変わった。

 持ち前の荒ぶるアホさを遺憾なく発揮して一日を過ごした。みんなには申し訳ないと思った。

 

 

 

 

 休日勤務中の休み時間、何気なくTwitterを開いたらタイムラインでみんながどこか楽しそうなところへ行ったり、彼氏彼女とデートに行ったり、なにかしらの音楽グループのライブやらコンサートやらに行ったりしているツイート群を見ていると、ムラムラと腹が立ってきました。なんでみんな楽しそうな時間を過ごしているのに俺は出勤なんかしているんだ。ずるい、混ぜて欲しい。そうだ、明日は祝日だから友達を誘ってどこか遊びに行こうと思ったが、誘えるような友達が一人としていないことに気づき、泣いた。

 友達募集中です。立候補者にはお礼の気持ちとして30000円をプレゼントしたいと思います。